２０１０年９月３０日及び１０月１日の日程で、自分の海外出張の途中、九江に立ち寄り、九江学院を訪問しました。

　まず、今回の私の海外出張の主な目的地は、中東、アラブ首長国連邦のドバイでした。ドバイまでの最も安い航空券を捜したところ、大阪ー北京ードバイの中国国際航空の便が見つかりました。しかし、安いのには理由があり、９月２４日出発だと帰り便北京ー大阪が１０月３日まで取れません。ドバイでの仕事は２７日には終わるので、１０月２日のドバイー北京便まで、何もせずに物価の高いドバイで滞在するよりは、９月２９日のドバイー北京便で、中国に入りついでに中国での仕事をしてくればよいと考えたのが、発端でした。中国滞在中行きたかったところは、江蘇省常州、福建省福州、江西省九江の３ヶ所でした。急に中国に行く事になった為、于紅さんを通じて国内線の手配をお願いするのと同時に欧陽会長、帥氏にアポイントをとってもらいました。九江での日程は９月３０日のみでした。欧陽会長は３０日は終日在室。帥氏は、３０日に出張から帰るので、３０日は、OKとの事でした。于紅さんを通じて、私の訪問の目的は、１）友好の部屋の現状を見ること、２）今後の友好活動をどう進めるかという意見交換、という２点を伝えてありました。後に于紅さんから「小和田さんからも直接、帥さんに電話を入れてほしい」、と、連絡があったので、ドバイから帥氏に電話を入れ確認をしました

今回、私は、３年ぶりに中国に足を踏み入れました。北京首都空港に降り立った時、あれ、北京空港ってこんなんだったかな、という疑念が湧きました。そうだ、これは、新しく出来たターミナル３なんだと、気が付きました。ここで、３年間ブランクが空くと中国で何が起こっているのかわからないな、と考えました。ドバイから到着し、国内線で、福建省福州行きの厦門航空に乗り継ぎます。厦門航空はターミナル２から出ます。ターミナル２こそ、私が知っていた首都空港の新ターミナルビルだったのです。それが今や古くなっている。目覚しい変化にこちらが戸惑います。

ドバイから到着した日の内に、福州に入りました。福州は、見た目はさほど変わってはいませんでした。福州で常宿にしていた　Minjiang Hotel に行くとまたまたビックリです。ロビーが大改装さ れ すごく近代的な装いになっていました。従業員もすっかり変わり、私の知っている人は全くいなくなっていました。浦島太郎のようです。しかし、部屋に入ると内装は、昔のままであることに苦笑してしまいました。中国人の気質、つまり面子を重んじる気質が如実に表れていると思いました。つまり、ロビーだけの大改装が、そのホテルの面子なのです。

翌日、９月３０日、８：１０発の南昌行きの便に乗る為、６時にタクシーでホテルを出ました。昔ながらの大きな竹箒で道路を掃く人が出ています。空港までは、空海が修行をしたという鼓山の麓を通り馬尾港に掛かっている大橋を渡ります。以前は、この大橋から宋代の灯台、羅星塔がよく見えたのですが、現在、高層ビルに囲まれ、羅星塔も小さく見えます。７０年程前、私の父親はよく艦隊でこの馬尾港に入港していたのですが、その当時のこの羅星塔を撮った写真が残っているのですが、付近の面影は今や全くありません。

　 ９：３０に南昌空港に着きました。　私が最初に南昌に来た頃、１９９７年だったと思いますが、その当時の南昌空港は、街の近く、路地を入ったところに石造りの空港ビルがあり、その内部は、ガランとした吹き抜けで高い天井から長いカーテンがぶら下がっていたのを覚えています。その後しばらくして今の場所に移転し、新しい空港になったのです。しかし、現在、今のターミナルビルの横に新しいビルを建設中でした。

　帥氏が、１０：４５に北京から南昌空港に到着するのでそれを待って同じ車で九江に行くことになっていました。１１：３０頃迎えの車は、南昌空港を発ち九江へ向いました。途中、車数台が関係する大事故による渋滞により、かなり時間が掛かってしまい（約３時間超）２：３０過ぎにようやく高速を降り、九江市内に入りました。その後簡単な昼食を取り、九江学院の帥氏の部屋に着いたのは、３時を過ぎていました。その後、帥氏は、机に堆く置かれていた未処理書類の整理を始めたので、辻さんにも来てもらい、一緒に欧陽会長の部屋に行きました。

欧陽会長の部屋では、国際交流処の Wendy嬢（中国名は聞いていません）の英語での通訳で会見が始まりました。参加者は、欧陽氏、Wendy嬢、辻氏、小和田の４名で会見はスタートしました。まず、私が、この６月に高田九江友好会は、会長が替り、組織が大きく変わったが、今後とも友好活動はいままでと変わらず続けて行きたいので宜しくご協力願う旨を伝えました。欧陽氏からは、上田新会長は、古い友人でよく知っており、何ら問題はない、今後とも変わらず友好活動を進めましょうという力強い発言を得ました。欧陽氏からは、驚くべき発言がでました。欧陽氏は、今年いっぱいでリタイアをする、後任の会長は、九江高田友好協会の現副会長であり、医学院院長で副書記の、楊燿防氏が次期会長になるとの事。ここで Wendy嬢は用事があるというので退席し、代わりに小林さんが手配してくれた学生２名の通訳となりました。（劉さんともう１名名前わからず）。両名共優秀な学生であるとの事でした。

更に楊燿防氏も加わりました。楊燿防氏は、４０代後半か５０代前半のようにお見受けし、よく喋り頭の回転の速い人かなと感じました。彼には、九江高田友好協会は、今後高田とどのような活動を望むのかを聞きました。２名の学生の少し稚拙な通訳によると、彼等の今後の活動として望むことは、
（Ａ）留学生の交換をしたい。
（Ｂ）九江から先生の派遣をしたい。中国語を教える先生を派遣したい。
（Ｃ）高田と九江の間で、投資も含め、経済交流をしたい。
との３点に要約できます。

実際には、岡山商科大学とは、留学生の交換を行っているとの事です。通訳の一人、劉学生も、留学生として、一年間岡山商科大学で学んだとの事でした。

３０日は、折りしも木曜日、１９：００から２０：３０まで、「友好の部屋」で日本語クラブの課外活動があるとの事でしたので、それを参観することにしました。
夕食は学院内のホテル、私の宿泊先でもある、濂渓酒店の一階レストランです。王淑元主任が待っていてくれました。同席したのは、王主任、辻さん、于紅さん、小林さん、そして私の５名でした。

夕食を早めに切り上げ、８時頃、我々５名が、日本語クラブに闖入しました。「友好の部屋」は、どの棟なのか私には判りませんが、夜なので、真っ暗な中、５階まで上がりました。「友好の部屋」が出来た場所と現在の場所が同じかどうか判りませんが、私が想像していたよりも殺風景であると感じました。暗くてよく判らなかったですが、「友好の部屋」という表示もなく、ひとつの教室をあてがい、部屋の隅にスチール製の書架が並んでいます。日本から送られた本がズラッと並んでいました。我が家にあった見覚えのある全集もそこにならんでいました。４月に帥氏らが高田に来られたときには、日本から送られた本は、図書館に移す旨言っていたのですが、まだ移されていないようです。

さて、日本語クラブですが、私達が闖入したときは、八木さんが指導をしていました。女子学生ばかり１０人程度が集まっていました。王主任が私達を、（といっても私と于紅さんを）紹介してくれました。私がその場を仕切る格好になり、学生達との会話を楽しみました。学生とのいい交流が出来たと思います。２学年から４学年までの学生がいましたが、日本の同年代の女子学生はこうスムーズに、オッサンの話の輪に入ってくれないと思いました。日本よりも九江の学生の方が純真ということでしょうか。

２０：３０「友好の部屋」の活動が終わり、建物の外に出てみると、帥氏と、４月に日本に来られた姜東升氏と燕紅波氏の３人が待ち構えていました。これから外国人教師などがよく集まるバーに飲みに行こうというのです。帥氏、姜氏、燕氏、王さん、于紅さん、辻氏、小林さん、小和田の計８人で夜遅くまで飲みあかしました。８人で青島ビール２ダース２４本を飲みきりました。

翌１０月１日早朝、大学の周辺を散歩しました。そこには昔と同様、中国人の庶民の生活がそこにありました。朝食をその中の一軒に入り、白粥と小龍包５個と大龍包２個を食べました。〆て３元、安い。付近にいた人が同じようなものを食べていて２元と言われていたのに、私は３元、外国人と見てボラれたかなとおもいましたが、まあいいか。

１０月１日、辻さん、小林さんの見送りを得て、帥さんのご両親、奥様、お子様が南昌にもどる、その車に便乗させて頂いて、午前１０時過ぎ、九江学院を後にしました。
その日、南昌から上海に飛んだ訳ですが、南昌発の飛行機が３時間遅れました。遅れた飛行機の乗客には、ビスケットと飲物が配られます。この配給のアナウンスは、中国語でしか言わないのでよく聞いてないと分かりません。外国人には不親切です。

さて、上海虹橋空港に着きました。出発前に、迎えに来る老朋友、任君生が電話で、お前の飛行機は、ターミナル１に着くのか、ターミナル２に着くのかと聞いていたのですが、私はピンときませんでした。しかし、虹橋空港に着いてその意味が分かりました。以前の昔からなじみの深い空港ビルの滑走路を挟んだ反対側にターミナル２という大きく近代的なターミナルが立っているのです。そこには、地下鉄の駅があり、新幹線まで乗り入れています。ビックリです。新幹線（中国語では「高鉄」というらしい）は、蘇州、無錫を通り、南京まで行っています。私は、中間地点、常州まで乗りました。乗り心地は日本の新幹線と同じ、時速３３０ｋｍを記録したのをこの目で見ました。（その速度計を信じればですが）。余談ですが、昔、福建省厦門に日本語学校を開いた日本人がいました。その学校の名前を「新幹線」と言っていました。

１０月のはじめは、国慶節の休みになります。春節と並んで、民族大移動のシーズンです。どの空港もすごく混雑しています。いままでに、このシーズンでも、空港でのこの混雑を見たことがありません。以前は、鉄道の駅が混雑していました。その次に長距離バスのターミナルが混雑しました。その混雑が、今や空港に来ているのです。確実に人々の生活に変化が起きています。

ドバイに居ると生活臭が感じられません。砂漠と高層建築で、子供の姿が見えません。ところが、中国に来ると、子供の姿がいっぱい、生活音、生活臭が満ち溢れているのです。中国は、潤沢になった外貨を元に新幹線建設、（今や上海ー南京、九江ー南昌、福州ー厦門などが走っているといいます。）、空港リニューアル等々、インフラの整備を進めています。都会には、大仰な高層ビルが建ち並び、人々は以前は、高値の花だった、飛行機を利用するようになった。人々の生活は豊になった、様に見えます。そのような人達が報道などでもクローズアップされています。しかし、庶民の生活は、朝早くから箒で道路を掃き、天秤棒を担ぎ高速道路を歩き、真っ黒になって働いている。朝はお粥をすすり、昼は洗面器飯（と私達は呼んでいました）を食べ懸命に生きているのです。ともすれば、中国といえば、繁栄面だけがクローズアップされがちですが、このような庶民の生活が連綿と続いていることも忘れてはならないと思います。

北京首都空港で、帰国の為の早朝の中国国際航空の便のチェックインを待っていました。私の前には家族連れがいました。少し話しをする機会がありました。子供は、これから日本に留学に行くのだと言います。和歌山で日本語学校に入るのだと言います。親はその子供を送って一緒に和歌山に行くのです。小皇帝と呼ばれていたひとりっこを甘やかす姿かなと思いました。

今回の九江訪問を振り返ってみて、まず、事前準備が充分でなかったこと、事前にアジェンダを作って九江側への根回しが不足していたこと、思いがけない交通事故の大渋滞の為、滞在時間が少なかったこと、それにより、充分な詰めの作業が行えなかったこと、等々が反省点として挙げられます。このような点、今後充分に考える必要ありと思われます。しかし、九江の人達と大いに喋り、飲み、親交を暖めることができたのは、今回の唯一の成果かなと思います。よく中国人とのビジネスに於いても一緒に飲み腹の中を見せて好朋友にならなければビジネスは、成功しないとよく言われます。正にその通りだと思います。友好会のメンバーもミッションの一員でなくても、肩肘張った式典行事がなくても、九江に来て、親交を深めるのが友好会の友好活動であると、思いました。